デザイン思考とシンプリシティの法則
少し古い本(2008年発売)だが、ジョンマエダ氏のシンプリシティの法則を読んだ。
ロフトワークのイベント「経営×デザイン」のインタビュー記事の中で紹介されていたのがきっかけ。
本文はちょうど100ページ(意図的に)で、10の法則と3つのキーで、それぞれの内容が単独でも読めるようになっている。10の法則については以下の通り。詳しい内容はぜひ読んでもらいたい。デザイン思考に興味のある人であれば本棚に必ず置いておきたい一冊だ。絶版だが今なら古本で比較的安価に手に入るので今のうちの購入を進める。
- シンプリシティ=健全さ
- 法則1 削減
- 法則2 組織化
- 法則3 時間
- 法則4 学習
- 法則5 相違
- 法則6 コンテクスト
- 法則7 感情
- 法則8 信頼
- 法則9 失敗
- 法則10 1
- ひとつめの鍵 アウェイ
- ふたつめの鍵 オープン
- みっつめの鍵 パワー
誰が読むといい本か
デザイン、テクノロジー、ビジネス、そして人生においてシンプリシティ(健全さ)を探求していくときにこれらの法則が有効だ、としている。そういった意味では、デザイン思考関連だけでなく、テクノロジー側の人間や経営の文脈でも参考になる本だろう。※ティムブラウンのデザインシンキングの本もそうだが、やや抽象的な表現の章もある。ロジカルシンキングの人は読み解くのに少し混乱するかも知れない。
気づきや読むポイント
2008年というのがポイントで、一般的なユーザーにとっては、クラウド化やスマートフォンに関しては前夜であり、今読むと予言的な内容にもなっていて非常に参考になる。またジョンマエダもMITに在籍していたのは84年~で常にテクノロジーの変化の隣に居たので、このような思考になったのかな、と思った。
もっとも印象に残ったのは、スイスのタイポグラフィーの大家ウォルフガング・ヴァインガルト氏を訪ねて行ったくだり。ジョンマエダ氏は彼の夏期講座でゲスト講義を行ったそうだが、彼が毎年毎年、繰り返し入門講義を行っていることに最初はがっかりしたそうだ。ところが3度目の訪問で気づいたそうだ。彼はまったく同じことを言っているにも関わらず、伝え方がよりシンプルになっていると。
基本の基本に焦点を合わせることによって、自分の知っている何もかもを、伝えたいことの核心にまで煎じ詰めることができる
あとは発想や思考法としては、法則よりも3つのキーが実はもっとも重要な気がした。とくにオープンであること。これは彼がWordpressに転職したときにも語っていた。
「助け合い、シェアするといった、ヒッピーの感覚のようなもの。そうした『オープンソースのメンタリティ』がありました」