beerhole’s blog

ウェブデザインを中心とした雑記。自分用のメモ。音楽と美味しいもの、ライフスタイルについても少々。

「人を動かす」と言われたら、カーネギー?それとも矢沢永吉?コミュニケーション戦略もあるよ。

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会社の人に勧められて、手書きの戦略論「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略(磯部光毅氏著)を読んだ。「人を動かす」と言われると、カーネギー矢沢永吉を思い出す。矢沢永吉は「成りあがり」にて、高校一年のとき、キャバレーの社長から渡されたカーネギーの「人を動かす」を10回以上読んでいた、というエピソードを書いている。関係ないけど、自分も早くもう一つの人格が許してくれないような境地に達したい。「俺はいいけどYOKOYAMAがなんて言うかな?」という具合に。

 

さて、本書はコミュニケーション戦略と言っているが、いわゆる広告代理店周辺のマーケター/プランナーの世界におけるマーケティング戦略論だと認識している。

自分の感覚では、日本におけるマーケターは職位にもよるが、領域が限定的で専門性が高い仕事が比較的多いと思う。故にその領域に特化した具体的なテクニック論の本はたくさんあるし、古典の辞典のような本もたくさんある。だけど周辺の人(※1)がマーケティングをわかりやすく理解する為の本は少ない。

(※コトラー先生曰く、マーケティングとは経営そのもの、という言葉が表しているように様々なビジネスの戦略に関わる人はもちろん、クリエーティブは当然、広義なマーケティング活動の一部に包括されるし、ITは、そのものだけで活かされるものではない。)

 

本書は、広く横断的に、しかもわかりやすく伝えている。非常に勉強になった。手書きのイラストがハードルを下げていて、よりいい。

難しいことを、シンプルにかんたんに語るのが、一番素晴らしい。難しいことを難しく語るのは最低だ。簡単なことを難しく語るのはファックだ。

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それぞれの戦略に思想と強み弱みがある。歴史から語ることにより、思想を伝える。7つの流派にわかれているが、どれも正しい。どれか一つを選んだり、どれが正しいかでは無く、組み合わせ方や横断した戦略が大切。戦略の統合が人を動かす。ということらしい。以下、7つの戦略

 

  1. ポジショニング論:「違い」が、人を動かす。
  2. ブランド論:「らしさ」の記憶が、人を動かす。
  3. アカウントプランニング論:「深層心理」が、人を動かす。
  4. ダイレクト論:「反応」の喚起が、人を動かす。
  5. IMC論:「接点」の統合が、人を動かす。
  6. エンゲージメント論:「関与」が、人を動かす。
  7. クチコミ論:情報の「人づて」が、人を動かす。

それぞれの戦略については、ぜひ読んでもらいたい。とりあえずマーケティングの概要については、コトラー先生のマーケティグコンセプトと本書の2冊があればよい。そのくらい良い本だと思う。

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ネット広告の進化についても図解があるのが嬉しい。

 

自分の会社に置き換えて考えると、小売の事業会社側なので、色々思うことが溢れてくる。宣伝の部門は、生まれとしては日々の商売の販促の側面が強い。そしてWEBマーケティングのチームもECの広告の流れで担当が作られた経緯があるので、どちらもダイレクト論(ダイレクトマーケティング)であり、顕在客向けのインサイドアウト型がほとんどなのだ。

一般客向けのアウトサイドインの思考が非常に弱く、非常にバランスが悪い。既存客の高齢化が進む中で、どうバランスを変えていくか、は重要な課題である。

 

この先どうするか、何をすべきか

最後にまとめとして「戦略をどう作っていくか」「戦略をどう進化させていくか」という二つの軸で、本来のターゲット読者であるマーケター/プランナーに向けて語っている。

戦略をどう作っていくか:

7つの戦略の組み合わせをベースに、最新のメディアやテクノロジー、データも活用しながら、新しいコミュニケーションモデルを発明していく

戦略をどう進化させていくか:

コミュニケーション環境において、インターネットとデジタルテクノロジーが、ブランドと生活者の関係性を革新していく。さまざまな領域において境目がなくなり、すべてがつながっていく。キーワードはシームレス化。

 

ビジネスの人だってクリエイティブの人だって、ITの人だって、生活者に向いているんだから、誰に取ってもシームレス化は不可避。楽しい世の中になってきた。自分が最近インターネットを強く意識したり周囲に発信しているのはつながること、シームレス化を強く感じれるから。よい時代に生まれて本当にラッキーだと思う。