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beerhole’s blog

ウェブデザインを中心とした雑記。自分用のメモ。音楽と美味しいもの、ライフスタイルについても少々。

世界はそれをデザインと呼ぶんだぜ

Design Others Diary

こんばんわ、Mr.T(@MsterTeeee)です。久しぶりに更新します。

 

僕は、学生時代の手伝いのようなものも含めると、15年近くデザインの仕事をしてお金を稼いできました。ここでいう「デザイン」というのはCDジャケットや雑誌広告、フライヤー・ポスターやグッズなどの販促物、様々なウェブサイトの制作を指します。そして、当たり前のように毎日PhotoshopIllustratorを使用していました。でも、ここ数年は「デザイン」から遠ざかっています。

 

まず、現在の勤務先はデザインスタジオ(制作会社)ではなく、小売の事業会社になります。部署の名前も担当名も、デザインに関連する部門ではありません。肩書きも全く関連しません。パソコンには当然PhotoshopIllustratorはインストールされていません。
僕はこんな環境にいる自分を、学生時代の仲間に対して後ろめたく思っていました。なぜなら有名な美大や芸大を卒業した人でも、皆アートやデザインの仕事に就くわけではなく、まして僕の卒業した(一般的には落ちこぼれの)総合大学の芸術学科となれば、なおさらです。
そんなわけで数少ないデザインの仕事をしている仲間を(一方的に)大切に思っていましたし、卒業してもデザインの仕事に就かない人たちを僕はずっと「あいつらは最初からデザインが好きではなかった」などと思っていました。
だから、デザインから遠ざかっている自分を裏切り者のように感じていたし、最近は連絡もあまりとっていない状況になっていました。

 

でも、こちらの本を読んで、色々なモヤモヤが吹き飛びました。
デザイン思考が世界を変える (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) / ティム・ブラウン
f:id:beerhole:20160813201313j:plain
ずっと気になっていながらも、非デザイナーがデザイナーらしく考える為の本だと思っていたから、別に読まなくても平気だと思っていたり。

 

P53より

苦労してデザインの学位を取得した人々は、スタジオ以外での役割を想像すると困惑するかもしれない。しかし、もはや成熟の域に達したデザイン分野にとって、これは必然の流れと考えるべきだ。新しい作品を製作する、新しいロゴを作る、魅力的な(少なくとも無難な)筐体に驚異のテクノロジーを組み込む、といった二十世紀のデザイナーの課題は、二十一世紀をかたどる課題とはいえない。

 

これは本当に目からウロコでした。そうか、デザイン分野は成熟しきっているのか、と(よく考えたら当たり前ですよね)。これまで無意識に「(特に受託における)デザイナーの立場で出来る事なんて限られている」と思い、サービス運営側(事業会社)に転職したいとか、更には、もっと上流工程(事業戦略とか事業企画)をやりたい、とか思っていたのはこういうことだったのか。

それでは、本の内容について簡単に

誰が読むといい本?

基本的には、ビジネス視点で戦略を考える人向けだと思います。でも直線的思考の人は、おそらく困惑するだろうし、すぐに取り入れるのも難しいと思った。逆に、成熟しきったデザイン業界で、デザイナーが生き残るのに身につけないといけない思考なのではと思う。そういう意味ではクラシックなデザインを学んできた人向け(まさに自分)。

すぐに役に立つの?

明確なフレームワークはほとんど書かれていない。そして下記のように書かれています。あとは、個人的な感想ですが、これを実践できる環境を組織に取り入れるのが本当に難しいと思う。頭でわかったところで、個人でやるものじゃないし、大企業におけるデザイナーの存在はいわずもがな。

本書は「ハウツー本」ではない。デザイン思考のスキルは実践から習得するのが一番だからだ。本書の目的は、偉大なデザイン思考のもとになる原理や手法を理解する「枠組み」をお届けすることだ。

結局「デザイン思考」とは?

人間中心のデザイン、人間を物語の中心に捉える、人間を最優先に考える、、、本書の中にも度々出てきましたが、一番ピンときたのは「ニーズを需要に変える」為の思考。ブレインストーミングやプロトタイプ製作はその手段にしか過ぎないと思うので。また、プロセスや考え方はUX戦略やアジャイルやリーンなども近いと感じました。

あの製品って「デザイン思考」から生まれたのでは?そう思った事例
明日からはじめよう

「スタートからかかわる」「人間中心のアプローチを尊重する」などは、サービス運営側(事業会社)に転職した理由を思い出させてくれた。

逆に「早めに何度も失敗する、どれだけ早くアイデアを形にし、検証・改良できるか?(プロトタイプの製作)」「物語を作り上げてアイデアを共有する」みたいな部分は(デザイナー的スキルを)あえて封印していた部分があるので、すぐにでも取り入れたいと思う。

もしかしたら自分は、デザイン思考でイノベーションを生みたいのではなく、デザイン思考を組織に広めたいのかもしれない。

さいごに

結局、自分がいまやっていることは変わらずデザインなのだと思えた。それがとても嬉しい。そういえばと思ってジョンマエダ氏の「3つのデザイン」論を読んでもしっくりくる。そして、今この瞬間にデザインと呼んでいないだけで今後はデザインと呼ぶのかも知れない。とりあえず、疎遠になっている昔の仲間を食事に誘おうと思いました。

おまけ

自分が知らなかっただけで、現代のアートスクールでは「デザイン」を「デザイン思考」として当たり前に教えているのかも知れない。それから、20代の人間と話してみると別にデザイン思考を学んでなくても「文系と理系」「感覚と理論」「右脳と左脳」のバランスの取れた人間が普通にいる。彼らは肌感覚でそういう時代だと認識しているのだろう。これは素晴らしく思うと同時に自分もがんばろうと思わされる。